しなやかLIFE

しなやかで楽しい毎日を過ごしましょう

発達障害を体験してみた。

f:id:sinayakalife:20211125210920j:plain


 先日、発達障害の方の感覚を体験する研修に行ってきました。VRゴーグルとヘッドホンを装着して仮想空間の中に入ります。障害者の方の就職を支援する事業所の研修のために、場面は職場に限定されています。

 

 まずは聴覚過敏の体験です。オフィスの中で、1対1で打ち合わせをしています。話を聞こうとするのですが、オフィスの中の他の人たちの会話が、目の前の方と同じ音量で聞こえてきて、話に集中できません。エアコンの音、機械音などは特に不快に感じます。この状態では話の内容が頭に入らず、打ち合わせは困難です。打ち合わせなどは個室で雑音のない状態で行う配慮が必要です。1人での仕事は集中できるようにヘッドホンを使用すると良いでしょう。

 

 次に視覚過敏の体験です。会社の人と車で移動しています。天気が良く日差しがとてもまぶしいです。視界全体にノイズの様な細かい光の点が見えます。ナビの画面の境界が不明瞭でぼやけて見えます。トンネルに入ると視界が真っ暗で、出た時は真っ白で目が慣れるまで景色はわからない状態です。これでは怖くて車の運転は困難です。遮光メガネなどで光を遮ったり、室内であれば遮光カーテンを使用するなど環境を整える必要があるでしょう。

 

 次はADHD(注意欠如・多動性)の体験です。オフィスの机でパソコンに向かって仕事をしています。上司が来て、今日が締め切りの仕事が出来ているか確認に来ました。出来ていないので慌てて取り掛かります。パソコンに向かうのですが、隣の卓上カレンダーに目が行って、今日は友達の誕生日であることを思い出します。誕生日プレゼントは何にしようか思い巡らしていると、電話が鳴ります。取引先からの電話で、頼まれた仕事の期日が今日であり、間に合うかの確認電話です。忘れていることに気づいて、また慌ててパソコンに向かいます。そこに同僚が現れて、帰りに食事に行こうと誘われます。何処に行って、何を食べようか検索し始めます。意識が目の前のことに集中してしまい、仕事の優先順位が決められず、一向に進みません。仕事の指示を細かく分けて、出来てから次の仕事を指示するなどの工夫が必要です。

 

 実際に体験してみて衝撃を受けました。発達障害の方たちは、定型発達者の方が当たり前に日常生活で出来ている、聞くこと、見ること、行動することがこんなにも大変なんだと。これでは生きづらさを感じるだろうと痛感しました。

 

 発達障害の世間での認知は急速に広がっています。テレビや書籍でも頻繁に取り上げられています。実際に私の周りでも、発達障害のお子さんは増えています。診断を受ける方が多くなったから増えたのか、本当に増えたのか。でも認知が広がることによって人々の配慮が増えて、環境が整えば、もっと生きやすい社会になるでしょうね。

 

 勉強して知るよりも、体験するほうが遥かに理解は進みます。ゲームで使うという認識しか無かったVRゴーグルでこんな体験もできるなんて、他にも老人の感覚、病人の感覚、妊婦さんの感覚など有意義に使えそうですね。